自己破産のメリット・デメリット
自己破産とは、破産申立書を裁判所に提出することにより借金をゼロにする手続きです。つまり、借金が膨れ上がり、借金の弁済がもう不可能といったときに、裁判所に申し立てることにより借金などの債務を全て消滅にする手続きのことです。ただ、借金が払えない人が全員自己破産できるかといえば必ずしもそうではなく、まず裁判所に対して破産手続開始の申立てを行ない(破産法15条1項)、裁判所が破産開始手続開始の決定をしなければ自己破産のスタート地点に立つことができません(同法30条1項)。それに加えて、裁判所で定められた書面でのみしか申し立てを行うことができません(同法20条1項)。以上のような手続きを経て、裁判所は破産を申立てた人(破産宣告者)の収入や借金理由、借金額などを総合的に判断して自己破産を認可するか審査します(同法21条1項)。
ただし、自己破産にはメリットとデメリットの両方があります。
⑴メリット
自己破産のメリットは、今まで抱えていた借金などの債務を帳消しにできることでしょう。
債務が自分の資力を上回る場合には自己破産をした方がいいと考えられています。
自己破産と同じ債務整理の1つである任意整理の場合は債権者と交渉が大事になりますが、これは複数の債権者がいる場合にかなり煩雑です。これに対して自己破産は裁判所が債権者を集めてくれるので(破産法136条)、債務者は他のことに集中できるのでメリットと言えるかもしれません。
また、債務が取り消されるので債権者などによる取り立てに恐れることはありません。破産宣告書が受理されたとしても破産宣告者は自身のすべての財産を没収されるわけではありません。生活に必要な最低限度の財産は自分の手元に置いておくことはできます。この残った財産を取り立てに来た債権者の元へ渡す義務はありません。
⑵デメリット
自己破産のデメリットとしては、まず破産後の生活に、財産を自由に使うことができないなど裁判所による制限が生じることが挙げられます。
また、破産宣告がなされると官報に一定期間掲載されますので、官報を読む人はほとんどいませんが、公に知られることになります。ですので、クレジットカードを作成できない可能性が出てきます。
ただし注意しなければならないのは、投票権や生存権といった憲法で定められている権利は破産していてもなくなるということはありません。
また、会社・企業などの法人が自己破産をした場合には破産管財人の職権により社長などの役員の財産に対して保全処分ができます(破産法177条1項)。ですので個人事業主の場合は当然ですが、役員の不動産にも法人の自己破産の影響が出る恐れがあります。
これに加えて、債務者が保証人を付している場合には保証人に対して債務の履行請求がされることがあります。この場合に保証人は他にも保証人がいることなどを主張することができますが(民法456条参照)、保証債務が完全に消えるということはないです。
このように、自己破産にはメリットもありますが、デメリットももちろんあります。
借金返済の形態として自己破産が適切かどうかは慎重に考えなければなりません。
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