債務不履行に基づく損害賠償請求|要件や時効について詳しく解説
金銭の支払いをする債務、特定物を引き渡す債務など、債務の内容はその発生原因となった行為の内容によってさまざまです。
売買契約の場合には、買主は代金を支払う債務を負い、売主は対象物を引き渡す債務を負います。
そして、債務は当然に履行されるべきものであり、履行をするべき時期に履行がされていないことを「債務不履行」といいます。
債務不履行によって、債権者は債務者に対して、残存する債務の請求はもちろんできますが、これに合わせて債務不履行に基づく損害賠償請求をできる場合があります。
なお、契約の解除も可能な場合があります(この場合、自身の反対債務の履行として引き渡した物、あるいは支払った金銭の返還を請求することができます。また、これに合わせて損害賠償請求を行うこともできます)。
このページでは、債務不履行に基づく損害賠償請求の要件や時効についてご紹介します。
債務不履行に基づく損害賠償請求の要件や時効
・要件について
債務不履行に基づく損害賠償請求権の発生要件は以下の通りです。
①不履行の事実
②損害の発生と額
③不履行の事実と損害の発生の間の因果関係
④債務者の帰責事由によるものであること
⑤不履行に違法性が認められること
①不履行の事実
債務の履行期について、
・確定期限がある場合には、その期限の経過によって、
・不確定期限がある場合には、その到来、債務者が到来を知ったこと及び知った日の経過又は、債権者が債務者に期限の到来の後に催告したこと及び催告日の経過によって、
・期限の定めがない場合には、催告及び催告日の経過によって、
履行期が到来したことになります。
②損害の発生と額
債務不履行がなかったならば有したであろう財産と債務不履行がなされた現在の財産との差額(差額説)が、債権者の被った損害の額と考えられています。
③不履行の事実と損害の発生の間の因果関係
債務不履行がなければ損害が生じなかったという関係が必要です。
もっとも、賠償するべき損害額の範囲は、相当因果関係によって決まります。
④債務者の帰責事由によるものであること
「契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由」による場合には、損害賠償請求権が発生しません。
⑤不履行に違法性が認められること
代表的なものとしては、自身の反対債務と同時履行関係(同時に債務の履行をすることとされている関係)にある場合で、債務の提供をしていない場合には、相手は履行しなくても違法にならないことになり、損害賠償請求権が発生しません。
・時効について
消滅時効とは、権利があるにもかかわらず長期間にわたってこれを行使しない場合には、権利の行使をできなくする旨の定めをしています。
民法は消滅時効の起算点として2つ規定を置いています。
まずは、権利を行使できることを知った時点(主観的起算点)で、この時点から5年で時効が完成します。
債権者側が相手に債務不履行があったことを知り、かつ損害が発生すれば、通常は債権者側として損害賠償請求権を行使できることがわかるため、同時点から5年で時効が完成することになります。
また、権利を行使できる時点(客観的起算点)で、この時点から10年で時効が完成します。
時効の完成は、支払いの催促や訴訟の提起等によって阻止することができます。
債務不履行にお困りの方はCLOVER法律事務所までご相談ください
一定の要件の下で、債務不履行に基づく損害賠償請求権が発生し、自身が被った損害を賠償してもらうことがあります。
その際には、証拠の収集や時効の完成を意識しながら手続きを進めていくことが求められ、これには法律の専門家である弁護士に依頼することが有効といえます。
CLOVER法律事務所では、ご相談者のさまざまなお悩みをじっくりと伺い、積極的な姿勢で問題を解決することにより、ご相談者に幸せを届けることを目指しております。
初回の面談のみで解決する事案もございますので、まずはお気軽にご相談ください。
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