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M&Aによる事業承継手続きの具体的な流れ

M&Aとは、Mergers and Acquisitions(合併と買収)の頭文字をとった略語で、企業合併・企業買収を意味します。
企業間でのM&Aを用いた事業の承継には、売り手買い手双方にメリットがあるため、近年M&Aの件数が増えています。
そこで、このページでは、M&Aによる事業承継の具体的な流れについてご説明します。

 

◆準備段階
まず売り手は、M&Aを実施する目的を明確にする必要があります。M&Aの目的によって、契約の内容・M&Aのスキームが異なり得るため、自身が何を得たいのかをはっきりさせた状態で、交渉相手を選び、交渉に臨む必要があります。
自身の目的を法的に構成することが難しい場合や、M&Aのメリット、売却価格の目安などわからないことが多い場合には、企業法務を扱う弁護士事務所や、コンサル会社に相談すると、充実した準備ができます。

目的等が明確になったら、交渉の相手を探すために、仲介会社に相談します。
その際には、M&Aを検討している事実や、交渉相手を探すために要求される自社資料の漏洩を防ぐための秘密保持契約の締結が必ず必要です。

交渉に至る前に企業の重要情報である、企業価値や、企業の概要(財務状況・労務状況等)について整理しておくことが必要です。

 

◆交渉段階
まずは、M&Aを行う当事者である、売り手企業と買い手企業のトップ間で面談を行います。
その後、買い手企業が意向表明書を、仲介会社を通じて売り手に提出することがあります。
双方が前向きな考えに至ると、基本合意の締結を行います。M&Aの基本スキームの確認、取引価格の確認、デューデリジェンスの協力の誓約、独占交渉権の付与を行います。
この時点では未だ契約は締結されておらず、法的拘束力がないものも多いです。

次に、買い手企業によるデューデリジェンスが行われます。
デューデリジェンスは買い手企業にとって極めて重要な過程といえます。デューデリジェンスは企業監査のことで、売り手企業の財務情報・法務情報を網羅的に調査します。

売り手企業からの承継の態様は包括承継から個別承継まで、スキームによって異なります。しかし、承継部分の権利義務を引き継ぐことが多いため、債務の状況、不動産等の資産状況、従業員に対する賃金の支払い状況など、権利義務に大きな影響を与える事項を慎重に確認する必要があります。
専門性が高いため、デューデリジェンスは専門家に調査を依頼することになります。

 

◆最終段階
デューデリジェンスによって最終的な意向を固めた買い手と、売り手が再度交渉し、最終契約内容の決定交渉を行います。
交渉の内容は目的に合わせて多岐にわたりますが、主な内容としては、スキーム・承継の範囲、取引価格、クロージング日の設定、表明保証です。
内容が決まると、最終的な合意である契約の締結を行います。契約には法的拘束力が認められるため、慎重に行う必要があります。

また、契約違反に備えての損害賠償規定や、表明保証などでリスクを管理することも重要といえます。
契約を締結すると、設定したクロージング日に対象とされた一切の財産の移動が起こります。

クロージングによって、大きな混乱が起こるので、事前に計画書を作成しておくべきといえます。
また、個別承継においては、登記や知的財産権の移転は当然にはおこらないので、手続きを行うことが求められます。
買い手のM&Aの目的によっては、これらの手続を完了させるころから逆算してクロージング日を設定することも重要となります。

包括承継の場合、当然に移転するので特に問題は生じません。

 

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『「出会ってよかった」と思われる法律事務所であり続ける』

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弁護士 宇田川 高史[Takafumi Udagawa]
出身大学 慶應義塾大学法学部
保有資格 弁護士・中小企業診断士
得意分野 合併・事業譲渡(M&A)、債権回収、労働事件、債務整理、債権回収、医療過誤事件、労働事件、相続関係事件、離婚事件、不動産関係事件など
所属

埼玉弁護士会

埼玉県中小企業診断協会

埼玉中央青年会議所

大宮三田会

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